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妙な箱型の装置。
彼女がそれを倒れた木に近付けると、ピーッと耳に刺さる音が鳴った。
「こんなに大きな反応は、今まで見たことがないわ」
「何が起きた、んだ?」
リーリムさんはまだ息切れが治まらないらしい。
二人は興奮気味に、装置を覗き込んでいる。
『おい、気を付けろよ相棒』
剣の声がした。
『オレのことがばれたら、きっとお前実験材料にされちまうぞ。学者って生き物はどの時代もそんなもんだ』
思わず左手を睨みつける。
魔力がどうこうって、やっぱりコイツが原因か!
『待て待てヒトゴトにすんなよー。お前が不用意に振り下ろすからああなるんだろーが』
……そんな覚えないんだけど。
『いーや、しっかりキレイに振り下ろしてたぞ』
そんなつもりは……て。
ちょっと待て、何だこの状況?
もしかして、会話成立しちゃってないか?
『そりゃ、してるだろ』
……しちゃってるのかー。マジかー。
やだなコイツ、心まで読むぞ。
『ああ、多少読むぞー』
マジかー。
『まーそんなに読めないから安心しろー』
安心しろって言われてもなぁ。
「アリル、何があったのか、教えてくれないか」
リーリムさんの声に、ボクは顔を上げた。
「……雷が、落ちたと思ったんだ」
これは嘘じゃない。
ホントに最初はそう感じたんだから。
「雷か……。激しい自然現象が魔力計に反応することは珍しくないが……」
「でも局長。この反応はあまりにも」
くくっ、という笑いが聞こえた。
「そう、あまりにも人為的な波長だよね。波の振れ幅も間隔も、定規で測ったようにピッタリ同じだもん」
三人目の白衣が、いつの間にかすぐ真横に立っていた。
ボクの視線に気づくと、彼はにこやかに笑って言った。
ハジメマシテ、局長の息子さん?」
表情とは裏腹な眼鏡の奥の冷たいブルーが、妙に印象に残った。


選択肢
キャラが増えて作者的には楽しくなってきました。
ごちゃごちゃするので、とりあえずしばらくは新キャラは出さない予定です。
スポットあてて欲しいのは?
1.剣のヒト。
2.謎の美女。
3.眼鏡の男。