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それからしばらくの間、白衣の三人は家の周りを念入りに調べていった。
眼鏡の人、ノートって言ったかな?
彼があの機械を急にボクに向けた時はドキっとした。
機械は少し反応してたけど、魔法が使える人間なら正常な範囲だったみたい。
でもそれ以上にビックリしたのは、それを見つけたリーリムさんが彼の胸ぐらを掴んで怒ったこと。
「君はアリルをなんだと思っているんだ!」
なんて大声で怒鳴ったりして、いつも穏やかなリーリムさんからは想像しにくいくらいの剣幕だった。
「失礼」
ノートさんは機械を持ってない方の片手を上げて降参のポーズを取りながらも、ククッと笑った。
「こんな近くにいたんです。彼が魔力の影響を受けている可能性を思いまして」
「だからと言って君は! 人と物の区別もつかないのか!」
「落ち着いてください、局長。強引なやり方は問題だけど、ノートの言うことも一理あります」
リーリムさんにそう言って、彼女はボクを見た。
「ごめんなさい、アリル君。こういう人なのよ、この人」
「はあ……」
ボクはまだ驚いてたから、なんだかマヌケな返事をしたと思う。
「大きな魔力は健康被害を引き起こすことがあるの。少し調べさせてもらってもいいかしら?」
「いや、大丈夫だツィリル君。アリルのことは、後で私が診る」
ボクが何か言う前に、リーリムさんが応えていた。
「アリル、疲れたろう? 家に戻ってなさい。さあ、データは十分取れた。研究室で検討しよう」
リーリムさんは二人を連れて、本館の方に戻って行った。

それから、二時間経つんだけど。
未だに帰って来ないんだよなあ。
『おい、相棒。腹減ったぞー』
何度目か分からない剣のヒトのクレームが聞こえてきた。
ていうか、剣て何か食べたりするもんなの?
『生き血を啜るぞー』
マジか。ますますやだなコイツ。
『ジョークだ』
剣ジョークか。文化の違いなんだろうか。
さっぱり笑いどころが分からない。
でもホント、お腹空いてきちゃったなあ。
リーリムさんは夢中になると食事とか忘れちゃうタイプだから、今までもよくあったことだけど。
もう、シェンナんちに転がり込む手は使えないんだなあ。
さて、どうしようか。


選択肢
リーリムさんが戻ってきません。
お腹を空かせたアリルと剣のヒトは、この後

1.研究室に行ってみる。
2.買い物に街に出てみる。
3.ジッと待つ。