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どうしたもんかと頭を抱えたものの、何の名案も浮かぶことはなかった。
まあ、当たり前か。
結局ボクはしばらくの間、俯いた視線の先の足下を歩き回る虫を、意味もなくぼんやり眺めていた。
「アリル、大丈夫か!?」
リーリムさんの声に、ボクは顔を上げた。
多分、全力で走ってきたんだろう。
肩が上下するくらい息を切らせて立っている。
「あれ、リーリムさん。仕事終わったの?」
その割に、白衣を着たままだけど。
「仕事は、まだ、だ」
リーリムさんは、乱れた前髪を片手でかきあげた。
「そんな、ことより、さっき、ここら、辺のエリアで、異常な数値、の、魔力……」
リーリムさんは、真っ二つになっている木を見つけて言葉を失ったみたいだ。
「何、だ、コレは……?」
ヨロヨロと、それに近づいていく。
典型的な研究者肌のリーリムさんは、体力がとにかくない。
ボクのことを心配してたみたいだけど、いつもながらお前こそ大丈夫かと聞きたい。
「……局長。魔力計に反応があります」
女の人の声がした。
振り返ると、リーリムさんと同じ白衣を纏った女性が立っている。
あれ、この人、どこかで……?
ボクと目が合うと、彼女はニコッと笑った。
「あら、また会えたわね」
やっぱり。
あの日、泉で会った人だった。



選択肢
やっと謎の美女と再会したアリル。
話進んでないじゃないかというツッコミは無視しつつ、登場させるとしたらどれ?
1.双子ちゃん
2.マッドサイエンティスト
3.シェンナふたたび